言葉の小さな違いが、制作進行では大きくなる
制作パートナーとやり取りするとき、よしあきは 「簡単なデザイン」と「シンプルなデザイン」を分けて使うようにしている。
一見すると近い言葉に見えるが、ディレクションの文脈では受け取られ方が変わる。
- 簡単なデザイン
- シンプルなデザイン
どちらも装飾が少ないデザインを指して使われることがある。しかし、前者は作る人や再現する人にとって簡単というニュアンスを含みやすい。後者は、作られたものの構成や見た目がシンプルという説明に寄せやすい。
この違いは、制作パートナーとの信頼関係を考えると、よしあきとしては無視しない方がいい。
「簡単」は作業難度への評価に聞こえやすい
「簡単なデザインですね」と言ったとき、言っている側は「要素が少ない」「見た目がすっきりしている」くらいの意味で使っているかもしれない。
しかし受け取る側には、次のように響く余地がある。
- 作るのは簡単でしょう
- そんなに工数はかからないでしょう
- 難しい作業ではないでしょう
つまり、「簡単」は成果物の説明ではなく、相手の作業難度を外側から評価する言葉になりやすい。
もちろん、本当に作業量や工数を見積もる場面はある。その場合でも、「簡単」という一語で済ませるより、ページ数、要素数、動きの有無、CMS化の範囲、確認観点などに分けて話した方が誤解が少ない。
「シンプル」は成果物の性質を説明しやすい
一方で「シンプルなデザイン」は、作業者ではなく成果物側に視点が向きやすい。
たとえば、次のような特徴を説明しやすい。
- 装飾が控えめ
- 要素数が少ない
- 余白が多い
- 情報の階層が明快
- 配色やフォントの種類が絞られている
もちろん「シンプル」も完全に客観的な言葉ではない。それでも「簡単」と比べると、相手の作業を軽く見ている印象は出にくい。
制作パートナーに伝えるなら、よしあきには次のような言い方の方が安全に思える。
装飾は控えめで、構成としてはシンプルなデザインです。
ただ、余白や文字まわりのバランスが印象に影響しそうなので、そのあたりは丁寧に見たいです。
シンプルなデザインは、簡単に作れるとは限らない
ここで大事なのは、シンプルなデザイン = 簡単に作れるデザインではないという前提である。
むしろシンプルなデザインほど、細部のズレが目立つことがある。
- 余白の取り方
- 文字サイズと行間
- 見出しと本文の比率
- 罫線や背景色のわずかな差
- スクロール時やレスポンシブ時の間合い
要素が少ないぶん、ひとつひとつの精度が印象に直結する。だから「シンプルですね」と言うときも、「簡単そうですね」という意味にしない方がいい。
よしあきがディレクター側として伝えるときは、成果物の方向性と、実装・再現で注意したい点を分けて伝えるのがよい。
全体としてはシンプルな構成ですが、
余白やバランスの再現が重要になりそうです。
この言い方なら、デザインの特徴を共有しつつ、制作側の仕事を軽く扱っていないことも伝わる。
工数の話をしたいときは、具体的な観点に分解する
もし本当に「そこまでボリュームは大きくなさそう」と伝えたいなら、「簡単」という言葉に寄せず、観点を分けた方がよい。
たとえば、次のように言える。
要素数は比較的少ないので、実装ボリュームは大きくなさそうに見えます。
ただ、再現上の注意点があれば教えてください。
または、もう少しディレクション寄りにするならこうなる。
ページ構成はシンプルですが、細部の調整量はまだ見えきっていないので、
余白・レスポンシブ・アニメーションの有無を見ながら確認したいです。
大事なのは、相手の作業を一言で評価しないことだ。
「簡単そう」と言いたくなる場面ほど、実際には次のような具体語に置き換えられる。
| 言いたくなる表現 | 置き換えたい表現 |
|---|---|
| 簡単なデザイン | シンプルなデザイン |
| 簡単そうなページ | 要素数が少ないページ |
| すぐできそう | 実装範囲は大きくなさそう |
| 難しくなさそう | 複雑な動きは少なそう |
まとめ
よしあきは、制作パートナーとのやり取りでは次のように分けて考えたい。
- 成果物の特徴を言うときは「シンプル」
- 作業難度を言うときは「簡単」を避け、具体的な観点で話す
- シンプルなデザインでも、再現や調整が難しい場合はある
- 相手の仕事を外側から軽く見積もる言い方を避ける
言葉の選び方は小さなことに見えるが、制作進行では積み重なる。
「簡単なデザイン」ではなく「シンプルなデザイン」と言う。
よしあきにとって、それだけでも成果物への観察と、制作パートナーへの敬意を分けて扱いやすくなる。